2025年5月に激化したインド・パキスタン間の戦闘で改めて世界の注目を集めたインド。実は日本の自衛隊とインド軍は近年、防衛協力を急速に深めています。陸海空それぞれの共同訓練、シーレーン保護、QUADでの多国間連携など、インド太平洋地域の安全保障の重要パートナーになっています。
この記事では、日印関係の歴史的な背景から最新の防衛協力(ダルマガーディアン・JIMEX・ヴィーアガーディアンなど)までを整理します。
結論:日印は安全保障の「戦略的パートナー」
- 日印は「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」に基づき協力強化中
- 陸自×インド陸軍:ダルマガーディアンを2018年から毎年実施
- 海自×インド海軍:JIMEXを2012年から定期実施
- 空自×インド空軍:2023年にヴィーアガーディアン23を国内で初実施
- QUAD・ASEANなど多国間枠組みでも連携拡大
日印関係の歴史:6世紀の仏教伝来から戦後の国交樹立まで
日本とインドの関係は、6世紀の仏教伝来から始まる長い歴史を持ちます。仏教の教えは日本の宗教・哲学・文化・政治に深い影響を与え、両国交流の基盤となりました。

古代〜中世はアジア大陸の商業ネットワークを通じて間接的な交流が続き、シルク・香辛料・繊維製品が日本へ、金属製品・技術がインドへ流通しました。
明治時代:日印協会の設立
近代的な交流が本格化したのは明治時代(1868〜1912)。インドはイギリスの植民地でしたが、文化的繋がりを深める活動が進められ、1903年に大隈重信・長岡護美・渋沢栄一らが日印協会を設立。両国の絆が深まりました。

戦後:1952年の国交樹立とインドの英断
第二次世界大戦中、日本はインド国民軍を支援。戦後インドはサンフランシスコ講和会議への参加を拒否し、独自に日本と講和条約を結びました。1952年に正式に国交樹立、インドは日本への賠償請求を全て放棄して日本の復興を支援しました。

その後、インドは日本ODAの最大の受取国となり、インフラ整備・技術移転・教育分野で協力が進展。インフラ・自動車・IT分野で経済的な絆も強固になりました。

日印安全保障協力:JIDIPと共通の価値観
日本とインドは「インド太平洋地域における日印の防衛協力(JIDIP)」という枠組みを創設し、平和で繁栄した地域の実現を目指しています。共通の価値観は「法の支配」「航行の自由」です。
- 防衛当局間の協議体設置で協力調整を加速
- 陸・海・空各軍種での共同訓練拡大、相互運用性向上
- 中東〜アフリカを結ぶシーレーン保護の協力
- ASEAN諸国との連携強化
- QUAD・ASEANなど多国間枠組みでの連携
- 経済安全保障・サイバー・宇宙技術など新分野でも協力進展
陸自×インド陸軍 共同訓練「ダルマガーディアン」
陸自とインド陸軍の共同訓練「ダルマガーディアン」は、2020年(コロナ)を除き2018年以降毎年実施。年々規模と内容が拡大しています。
| 年 | 場所 | 参加部隊 | 規模・内容 |
|---|---|---|---|
| 2018 | インド ミゾラム州(対内乱・ジャングル戦学校) | 陸自32連隊2中隊/印 第1グルカライフル6大隊 | 各約30名 小銃・拳銃・狙撃 |
| 2019 | 同上 | 陸自34連隊5中隊/印 ドグラ連隊18大隊 | 対テロ・ゲリラ戦 |
| 2021 | インド カルナータカ州コマンドトレーニングセンター | 陸自30連隊/印 第15マラサ軽歩兵大隊 | 各40名 市街地・実弾射撃 |
| 2022 | 滋賀県饗庭野演習場(日本初開催) | 陸自36連隊/印 第5歩兵大隊 | 陸自190名+印40名 市街地戦闘 |
| 2023 | インド ラージャスタン州マハジャン | 陸自34連隊/印 第19歩兵大隊 | ― |
| 2024 | 朝霞訓練場・東富士演習場 | 東部方面隊・第一師団・中央即応連隊/印 第48歩兵旅団第5大隊 | 約300名 過去最大規模 |




2024年は計画策定・包囲・検問・空路潜入・IED対処・実弾訓練・市街地でのテロリスト掃討など、過去最大の規模と内容になりました。
「ダルマ」の意味
「ダルマ」はインド発祥の仏教用語で「法」「真理」を意味します。インドから中国に仏教を伝えた達磨大師に由来し、現代日本では達磨人形として知られます。「法を守る守護者」「不屈の精神」といった意味が込められていそうです。
海自×インド海軍 共同訓練「JIMEX」
JIMEX(Japan-India Maritime Exercise)は2012年に東京沖で初実施。当初は人道支援・災害救援(HADR)や対海賊作戦が中心でしたが、年々高度化しています。

- 対潜戦(ASW)、対水上戦、空中戦、通信、補給など実戦的訓練に進化
- 両国が交互にホストを務め定期実施
- Sea phase(海上訓練)+Harbour phase(港内訓練)の二段構成
JIMEX22(インド ベンガル湾)
2022年の第6回はベンガル湾(ヴィシャカパトナム沖)で実施。海自から護衛艦「いずも」「たかなみ」、インド海軍からはステルスフリゲート「サヒャードリ」、コルベット「カドマット」「カヴァラティ」、駆逐艦「ランヴィジャイ」、補給艦「ジョーティ」、哨戒艦「スカニヤ」、潜水艦、MIG-29K戦闘機、P-8I哨戒機、艦載ヘリなどが参加。日印国交樹立70周年・JIMEX10周年の記念回でした。


JIMEX24(横須賀沖)
2024年は横須賀沖で実施。日本側は護衛艦「ゆうぎり」と潜水艦、インド側はフリゲート「シヴァリク」が参加しました。
両海軍はJIMEXのほか、インドが提唱する「インド太平洋海洋イニシアティブ(IPOI)」と日本の「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の理念に基づき、海洋秩序維持にも協力しています。
空自×インド空軍 共同訓練「ヴィーアガーディアン」
2023年1月、日本国内で初めて実施された戦闘機共同訓練が 「ヴィーアガーディアン23(Veer Guardian 23)」 です。2019年デリーでの日印2+2会議で合意されてから、コロナ禍を経て百里基地で実現しました。

- 空自:航空戦術教導団飛行教導群(小松)F-15×4、第7航空団第3飛行隊(百里)F-2×4、中部航空警戒管制団(入間)など
- 印空軍:西部航空コマンド第220飛行隊 Su-30 MKI×4、同81飛行隊 C-17輸送機×2、中央航空コマンド第78飛行隊 IL-78空中給油機×1(約150名)
- 訓練内容:空対空戦闘、指揮管制、輸送機・空中給油の運用ノウハウ共有
- 国内でロシア製戦闘機との初の共同訓練として注目
シンユウ・マイトゥリ23(輸送機共同訓練)
2023年3月には小松基地で「シンユウ・マイトゥリ23」という日印輸送機共同訓練も実施。航空輸送能力向上と部隊交流による相互理解の促進が図られました。

タランシャクティ24(参加断念)
2024年にはインド主催の多国間空軍演習「タランシャクティ」に空自F-2と空中給油機が参加予定でしたが、シンガポール寄港後、天候不良と給油機の不具合により参加を断念しました。
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まとめ
- 日印は6世紀の仏教伝来から続く古い歴史的繋がりを持つ
- 戦後の1952年に独自講和条約を締結、インドは賠償請求を放棄
- 陸自×印陸軍:ダルマガーディアンが2024年に過去最大300名規模に
- 海自×印海軍:JIMEXが高度化、IPOI・FOIPの理念で連携
- 空自×印空軍:2023年にヴィーアガーディアンで国内初の共同訓練
- QUAD・経済安全保障・サイバー・宇宙でも協力拡大中
本記事の内容はYouTubeでも解説しています。あわせてご覧ください。



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