台風シーズン、気象庁の情報以外にもう1つ知っておくと役立つのが米軍の台風情報「JTWC」です。アメリカ海軍と空軍が共同運営する合同台風警報センターで、太平洋・インド洋の熱帯低気圧を24時間体制で監視・予報しています。
この記事では、JTWCとは何か・どんな情報が見られるのか・気象庁との違い・実際のサイトの使い方までを整理します。気象庁とJTWCを比較することで、台風への備えがより確実になります。
結論:気象庁とJTWCの併用で防災判断の根拠が増える
- JTWCは米海軍・空軍共同運営の合同台風警報センター(拠点:ハワイ・パールハーバー)
- 監視範囲は西太平洋〜インド洋で、世界の熱帯低気圧の89%をカバー
- 進路は予報円ではなく線(確信的な進路)で表示
- 風速は1分間平均(気象庁は10分間平均)のため数値が高く見える
- 時刻はZ(ズールー=UTC)表示、日本時間は+9時間
- かつては軍事機密、現在は一般公開されている
JTWCとは? 米海軍・空軍共同の気象機関
JTWC(Joint Typhoon Warning Center/合同台風警報センター)は、アメリカ海軍と空軍が共同運営する気象観測専門部隊です。約50名の士官・下士官・民間職員が所属しています。
- 拠点:ハワイ・パールハーバー海軍基地
- 設立:1959年(米太平洋軍司令官の命令)
- 監視範囲:西太平洋・東南アジア・南アジア・アフリカ東部
- カバー率:世界の熱帯低気圧の89%
- 2011年以降は津波リスクも監視
2025年7月30日にカムチャッカ半島で発生した地震では、JTWCが実際に津波警報を発表しています。

JTWCの目的と上位組織
最大の役割は米国防総省(DoD)の資産を守ること。海軍艦船・航空機・沿岸施設・作戦部隊の安全確保のため、正確な台風予報を提供します。
現在の指揮系統は次の通りです。
- JTWC ← 艦隊気象センター・サンディエゴ(Fleet Weather Center San Diego)
- その上位:海軍気象海洋司令部(CNMOC) ─ 米海軍の気象・海洋分野中枢
CNMOCはJTWCのほか、世界規模の数値予報モデルを運用するFNMOC、海底地形・水温を観測するNAVO(海軍海洋局)、時間・天文の精密データを提供するUSNO(アメリカ海軍天文台)などを統括しています。米軍には「METOC(メトック)」と呼ばれる気象・海洋情報の専門組織体系があり、すべて軍事作戦支援を目的としています。
気象庁とJTWCの違い
| 項目 | 気象庁 | JTWC |
|---|---|---|
| 運営 | 日本政府 | 米海軍・空軍 |
| 進路表示 | 予報円 | 線(確信的な進路) |
| 風速 | 10分間平均 | 1分間平均(数値が高く出る) |
| 時刻 | 日本時間(JST) | UTC(Z=ズールー) |
| 強風域 | 円形で表示 | 非円形のメッシュも |
| 主目的 | 国民生活の防災 | 米軍資産の保護 |
独立した予報機関のため、台風の進路や勢力に違いが見られることもあります。ダイビングや航空関係などの専門現場でJTWC情報が参考にされるケースもあります。
JTWC公式サイトの使い方
① 監視中の台風一覧を表示する
- JTWC公式サイトにアクセス
- 左上のバナー 「Tropical Cyclone Support」 をクリック
- 続けて 「Tropical Warnings」 を選択
- 監視中の台風が衛星画像とともに一覧表示される

② 進路予測図を見る
表示画面の右側のリンクから「TC Warning Graphic」を選ぶと、台風の進路や暴風域の予測が確認できます。

- 黒い点線:これまでに通過した経路
- 青い実線:これからの進路予測
気象庁が予報円で進路を示すのに対し、JTWCは「予想進路を線で示す」確信的なスタイルが特徴です。
③ 表記の読み方
進路上には「01/18Z」「60KTS」のような表記が並びます。
- 「01/18Z」:8月1日18時UTC(Z=ズールー)。日本時間に直すと+9時間で8月2日午前3時
- 「60KTS」:風速60ノット(≒時速110km、約30m/s)。1分間平均の値

気象庁の10分間平均風速と比べると、JTWCの数値は高く見える点に注意してください。

④ 強風域・台風名の表記
例えば「TS11W ‘CO-MAY’」「TS12W ‘KROSA’」のような表記の意味は次の通りです。
- TS:Tropical Storm(熱帯暴風)
- 11W / 12W:熱帯低気圧として認定された通し番号+W(West Pacific=西太平洋)
- CO-MAY / KROSA:国際名(気象庁サイトでも確認可能)
強風域は最大3重の円で表示されます。
- 最も内側:最大風速 64ノット以上
- 2番目:50ノット以上
- 最も外側:34ノット以上
JTWCの円は完全な丸ではなく非対称な形で表示されることが多く、現実の暴風域分布をより反映しています。

⑤ 中心シンボルマークの読み方
- 白い丸:tropical disturbance(熱帯擾乱)/tropical depression(熱帯低気圧)
- 棒のついた白い丸:tropical storm(熱帯暴風)
- 黒く塗りつぶされた棒付きの丸:typhoon または hurricane
北半球と南半球で渦の回転方向が逆になるため、表示マークの向きもそれに対応しています。

「台風」の定義は国によって違う
気象庁とJTWC(国際基準)では、台風の定義そのものに違いがあります。
| 区分 | 気象庁の「台風」 | 国際基準の「Typhoon」 |
|---|---|---|
| 最大風速 | 17.2m/s以上 | 33m/s以上 |
つまり、日本で「台風」と呼ばれていても、国際的にはまだ「タイフーン」ではない段階のものもあります。
国際基準の段階分類
- Tropical Depression(TD):風速34ノット未満
- Tropical Storm(TS):34〜63ノット
- Typhoon(TY):64ノット以上
TSの段階で国際名が付与され、TYの段階で初めて「タイフーン」と呼ばれます。
地域による呼び名の違い
- Typhoon(台風):北西太平洋・南シナ海
- Hurricane(ハリケーン):北大西洋・カリブ海・メキシコ湾・北東太平洋
- Cyclone(サイクロン):インド洋・南太平洋
呼び名が違うだけで、実際は同じ「熱帯低気圧」です。



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まとめ
- JTWCは米海軍・空軍共同運営の合同台風警報センター
- 監視範囲は世界の熱帯低気圧の89%をカバー
- 進路は線で示す確信的な表示、強風域は非対称な実態を反映
- 風速は1分間平均、時刻はUTC(Z)表示で日本時間+9時間
- 気象庁とJTWCを併用すると防災判断の根拠が増える
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