クリスマスイブに世界中の子どもたちがサンタクロースの現在地をリアルタイムで追跡できる公式サービスがあることをご存じですか? それが、アメリカとカナダが共同運用する防空組織NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)が70年以上続けている「サンタ追跡ミッション」です。
本記事では、NORADとは何か・なぜ軍がサンタを追跡するのか・使われている装備や技術・日本から参加する方法までをわかりやすく解説します。

結論:本物の防空システムでサンタを追跡する70年続く伝統
- NORADは米加共同の防空組織。本来は弾道ミサイル警戒や領空防衛が任務
- サンタ追跡ミッションでは、レーダー・赤外線衛星・戦闘機をサンタ追跡に転用
- きっかけは 1955年のクリスマスイブに起きた「電話番号の間違い」
- 軍人・家族・ボランティア約1,000人が無償参加、Microsoftなど民間企業が技術提供
- 日本からも公式サイト・アプリで無料参加可能
NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)とは
NORAD(North American Aerospace Defense Command)は、アメリカとカナダが共同で運用する防衛司令部です。24時間365日、北米大陸の空を守るため次の3つの任務を担っています。
- 北米大陸上空の航空監視
- 弾道ミサイルの早期警戒
- 有事における領空防衛

つまり本来は、敵国からのミサイル発射や軍用機の接近を監視する極めてシリアスな防衛機関です。そのNORADが年に一度だけ行う“特別任務”が、サンタクロース追跡ミッションです。
NORADがサンタ追跡に使う3つの装備・技術
① 広域レーダーによる航空・宇宙監視
アラスカからカナダ北部にかけて配置された 「北方警戒システム(North Warning System)」 と呼ばれるレーダー網が、北極圏方面から接近する航空機・飛翔体を常時監視しています。これにより、正体不明機・長距離爆撃機・巡航ミサイルなどを早期探知します。
サンタ追跡ミッションでは、このレーダー網を使って「北極点を出発したサンタのソリ」を最初に探知します。


② 赤外線警戒衛星による宇宙からの監視
NORADは、弾道ミサイル発射を探知するための赤外線警戒衛星を運用しています。ミサイル発射時の強烈な熱反応を宇宙空間から捉え、数分以内に警報を出す極めて重要なシステムです。

サンタ追跡では、この仕組みを転用してサンタクロースのソリを引くトナカイ、とくに先頭ルドルフの「赤く光る鼻」が発する赤外線反応を捉えます。トナカイは全部で9匹(ダッシャー、ダンサー、プランサー、ビクスン、コメット、キューピッド、ドナー、ブリッツェン、そしてルドルフ)いるとされています。

③ 戦闘機によるスクランブル(エスコート)
レーダーや衛星で正体不明の飛行物体を探知した場合、NORADは空軍基地から戦闘機をスクランブル発進させます。目的は撃墜ではなく、目視識別・無線での呼びかけ・進路確認です。
サンタ追跡ミッションでは、このスクランブル発進をサンタクロースのソリを安全にエスコートするために行います。
- 最初に カナダ空軍のCF-18 がアメリカ大陸への到着を歓迎
- 続いて 米空軍のF-15・F-16・F-22・F-35 がエスコート
- パイロットがソリと並走して翼を振り、サンタも手を振って挨拶するのが恒例



ミッションを支える「軍 × 民間 × ボランティア」の協力体制
サンタ追跡ミッションの最大の特徴は、巨大なスケールにもかかわらず政府からの資金投入は最小限に抑えられていることです。
- 軍人・軍属・家族・地域ボランティア約1,000人が無償参加し、子どもたちからの電話対応を担当
- サーバー・地図・通信インフラはMicrosoftなど民間企業が寄付・技術提供

まさに「軍事 × 民間 × ボランティア」が融合した世界最大級の非営利アウトリーチ活動といえます。


1955年 始まりは「電話番号の間違い」だった
サンタ追跡ミッションの始まりは、冷戦まっただ中の1955年です。当時アメリカはソ連からの爆撃機や核攻撃への警戒が続き、防空司令部は常に緊張状態にありました。

その年のクリスマスイブ、新聞広告に掲載された「サンタクロース直通電話番号」に誤りがあり、子どもたちからの電話が防空司令部に直接かかってきてしまいます。

電話を受けた当直将校は、核攻撃への警戒任務のさなか、子どもたちからのプレゼント要望を聞くことになりました。相手がサンタではないと気づいた将校は、とっさにこう答えました。
「サンタは今、北極から南に向かって移動中だよ」
この対応が上官にも伝わり、司令部内で「せっかくなら正式にサンタを追跡して発表しよう」という流れが生まれます。こうして、防空システムを使ってサンタの現在地を伝えるサンタ追跡ミッションが定着していきました。
核戦争の恐怖が日常にあった時代に、防空任務にあたるレーダーや指揮所が「子どもたちのために使われる」という体験は、社会に強い印象を残しました。以降、ラジオ・テレビ・インターネットと時代に合わせて形を変えながら、毎年続けられています。
日本の自衛隊はサンタに対応しているのか?
日本の自衛隊がサンタクロースに対してスクランブル発進を行ったという記録は確認できませんでした。ただし航空自衛隊も、防空警戒・レーダー・早期警戒機の運用という点ではNORADと非常に近い任務を24時間365日行っています。


戦闘機のスクランブル発進などの警戒活動は通常、防衛省や統合幕僚監部から発表されます。自衛隊はおそらく米軍などと緊密な連携を取っており、「サンタはスクランブル対象ではない」と判断されているのでしょう。
日本からサンタ追跡に参加する方法
サンタ追跡ミッションは日本からでも誰でも無料で参加できます。
- 日本語対応の公式サイトにアクセス
- スマートフォン用の公式アプリも利用可能
- クリスマスイブにはリアルタイムでサンタの現在地が表示され、世界中の都市を巡る様子が見られる
お子さんと一緒に「今どこを飛んでるんだろう?」「どうやって見つけてるの?」と会話しながら楽しめる、ちょっと知的なクリスマスイベントです。
ただし当局は、「サンタは子どもたちが寝ているときだけ訪れる」と警告しています。サンタが家を通り過ぎないように、子どもたちを早めに寝かせてあげてくださいとのこと。良い子は12月24日は早く寝るようにしましょう。
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まとめ
- NORADは米加共同の防空司令部、本来は弾道ミサイル警戒・領空防衛が任務
- サンタ追跡には レーダー・赤外線衛星・戦闘機エスコート を転用
- 起源は1955年クリスマスイブの電話番号の間違いから
- 約1,000人のボランティア+Microsoftなど民間企業の協力で運営
- 日本からも公式サイト・アプリで無料参加可能
本記事の内容はYouTubeでも解説しています。あわせてご覧ください。



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