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対ドローン用ショットガン ベネリM4 Drone Guardian解説

ミリタリー

イタリアの銃器メーカー・ベネリ社が発表した対ドローン用ショットガン「M4 A.I. Drone Guardian」。FPVドローンが急激な脅威となる現代戦で、安価で電子戦に影響されない「最後の砦」として再注目されているアナログな迎撃手段です。

本記事では、ベネリM4 A.I. Drone Guardianの仕様、ドローンの種類別の脅威、各国の対ドローン手段、そして日本の自衛隊・警察での対ドローン現状までを整理します。

結論:FPVドローンへの「最後の砦」がショットガン

  • ベースは米海兵隊採用実績のあるベネリM4(コンバットショットガン)
  • 独自技術 「Advanced Impact(A.I.)」 で散弾を高精度・長距離化
  • 12ゲージ4/0バックショットで 50m〜最大100mのドローン迎撃 が可能
  • 銃身長18.5インチ/26インチの2モデル(前線携行用/基地防衛用)
  • ジャミング不能なFPVドローンへのアナログな最終手段

ベネリM4 A.I. Drone Guardian とは

ベースモデル「ベネリM4」

ベネリM4は、米海兵隊をはじめ世界の軍・法執行機関に採用されているコンバットショットガンの実績車。高い信頼性と過酷な環境での頑丈さが特徴です。

Benelli M4
(出典:Benelli Armi S.p.A.)

ベネリ独自の「ARGO(Auto Regulating Gas Operated)」システムを採用し、自己洗浄機能と自動圧調整で安定作動とメンテナンス性の高さを実現しています。

ARGOシステム
(出典:Benelli Armi S.p.A.)

A.I. Drone Guardian モデルの特徴

FPVドローンが大きな脅威となる現代戦に対応するため、M4をベースに改良したのがA.I. Drone Guardianです。

  • 銃身内部のコーン形状を最適化し散弾の拡散を高精度化
  • 12ゲージ4/0バックショットで 約50mでドローンに有効打、条件次第で100mも可能
  • 銃身長:18.5インチ(前線個人携行向け)と26インチ(基地防衛向け)の2種類
  • 外装:耐腐食性のセラコート処理、ブラックアノダイズレシーバー
  • 被筒部はアルミ製、M-LOK+ピカティニーレールで拡張性
  • 標準サイト:ホロサイト+ゴーストリングサイト
  • マガジン容量:2-3/4インチシェル7発/3インチシェル6発(薬室+1で最大8発)
  • 銃床:5段階伸縮式
M4 A.I. Drone Guardianの仕様
(出典:Benelli Armi S.p.A.)
サイトとマガジン
(出典:Benelli Armi S.p.A.)

ドローンの種類別の脅威

軍事用途で使われる代表的なドローンを、性質別に整理します。

① 大型軍用攻撃UAV

ロシア「オリオン」、アメリカ「MQ-9リーパー」など。高高度から偵察・爆撃・ミサイル攻撃を行います。長時間飛行・強力兵器搭載で、有人戦闘機に匹敵する戦術的価値を持ちます。

ロシアのオリオン

② 巡航型・自爆型ドローン

イラン「シャヘド136」、ロシア「ランセット」などの自爆型ドローン。あらかじめ目標を設定し自爆でダメージを与えます。安価で大量投入可能で防御側の対応が困難です。

ロシア製ランセット
ロシア製ランセット

③ FPVドローン(M4 Drone Guardianの主対象)

FPV(First Person View)ドローンは民生品を改良した、リアルタイム映像で操縦する小型機。安価で機動力が高く「空飛ぶ即席爆弾」として戦場で多用されています。

  • 低空・高速で飛行、遮蔽物をすり抜ける → 従来の対空火器では迎撃困難
  • 電子戦ジャミングも、周波数変更や自律航法で突破される事例あり
  • 市販パーツ・3Dプリンター活用で低コスト・大量生産可能
  • 常に上空から狙われる心理的圧迫も大きい

こうしたFPVドローンに対し、個人や分隊レベルで配備でき電子戦に影響されないアナログな最終手段として、ショットガンの価値が高まっています。広範囲に散弾をばら撒くことで、プロペラや電子機器にダメージを与えて確実に無力化できます。

対ドローン対策の4つのアプローチ

① 撃墜による無力化(ハードキル)

  • 小火器・対空ミサイル・高エネルギーレーザー高出力マイクロ波
  • イスラエル「アイアンビーム」、米海軍「LaWS」などレーザー兵器
  • 米空軍「THOR」はマイクロ波で複数ドローンを同時無力化
イスラエルのアイアンビーム
(出典:RAFAEL iron beam )

② 物理的防御と捕獲

  • イギリス「SkyWall Patrol」:ネット弾で捕獲
  • ウクライナでは偽装網・防護ネットを車両上部や掩体、道路上に展開
SkyWall Patrol
(出典:OPENWORKS Engineering Ltd)

③ 電子的妨害(ジャミング)

  • 豪 DroneShield 「DroneGun」シリーズ、イスラエル「Drone Dome」
  • 非破壊・再利用可能だが、自律飛行ドローンや有線(光ファイバー)ドローンには効かないケースも
  • そのためジャミング+物理迎撃の多層防御が主流に

④ 偽装・隠蔽

究極的なドローン対策は「敵から見つからないこと」。地形を考慮した陣地選定、掩体を掘った後の植生による偽装、擬装網の展開、電波発信を抑えたステルス行動などが、改めて重要になっています。

日本の自衛隊・警察の対ドローン対策

自衛隊:開発段階が中心

自衛隊の現場部隊レベルで対ドローン専用装備は配備されていません(ショットガンのような個人装備も未採用)。

  • 普通科部隊:91式携帯地対空誘導弾(PSAM)・重機関銃で対空
  • 高射特科部隊:地対空誘導弾・高射機関砲
  • いずれも大型固定翼機・回転翼機向けで、対ドローン専用装備ではない
PSAM 91式携帯地対空誘導弾
(出典:陸上自衛隊HP)

防衛装備庁では高出力レーザー高出力マイクロ波(HPM)の研究開発を進めており、車両搭載型レーザーの実証装置などが公開されていますが、実戦配備は数年後の見通しです。

防衛装備庁HPM
(出典:防衛装備庁)

警察:実運用が進んでいる

警察ではドローン対策がより進んでおり、ジャミングガン・ジャミング装置がすでに導入され、東京オリンピックや国際サミット等の大規模警備で運用されています。

警察庁の対ドローン
(出典:警察庁 令和元年版 回顧と展望 警備情勢を顧みて 特集「天皇陛下の御即位に伴う儀式等に係る警備」より)
  • ネットランチャー、迎撃ドローンの捕獲装備も導入
  • SAT・ERTなどの特殊部隊はショットガンを装備、理論上は対ドローン使用可能
  • ただし対ドローン専用としての運用は確認されていない

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まとめ

  • ベネリ M4 A.I. Drone GuardianはFPVドローン迎撃に特化したショットガン
  • 4/0バックショットで50〜100mのドローンに有効打
  • ジャミングが効かないFPVドローンへのアナログな最後の砦
  • 各国はレーザー・マイクロ波・ネット・ジャミングなど多層防御を推進中
  • 日本の自衛隊は対ドローン専用装備未配備、研究開発段階
  • 警察ではジャミング装置などが大規模警備で運用中

本記事の内容はYouTubeでも解説しています。あわせてご覧ください。

コメント

  1. 寺沢 朋 より:

    陸上自衛隊が令和七年度予算で小型ドローン対処用散弾銃を海外から輸入で購入しましたね。
    弾の種類も複数購入してる様で、ドアブリーチング用や害獣駆除用なども含まれてます。
    ドローン対処以外にも利用すると思われます。

    • 市谷 陸 市谷 陸 より:

      教えていただきありがとうございます。

      確かにバックショットやネット射出などの弾薬とともに調達しているようですね。
      本格的に導入するための調査研究用ですかね。

      対小型UAV用ときっぱり用途を明記しているので、もしかするとベネリのドローンガーディアンかもしれませんね。

  2. 寺沢 朋 より:

    ご返信ありがとうございます。
    素人な者でお恥ずかしいです…

    防衛装備庁のサイトなど確認したら記載されてました。

    輸入なのでやはりベネリのドローンガーディアンを購入したのでしょうか。
    海上自衛隊はベネリのM3散弾銃をだいぶ前から配備してるので購入し易いのかもしれません。

    どれくらい配備されるのか気になりますね。

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