2025年(令和7年)日本の防衛予算について元陸上自衛官が解説

自衛隊

日本を守るために必要な防衛予算。自衛隊の活動や装備品の購入、施設の維持などに使われています。

日本の防衛予算は2023年度から大幅に増額されることが決定しました。この防衛予算増額のニュースは元自衛官の私からすると、とても衝撃的なニュースでした。

というのもここまで大幅な防衛予算の増額はこれまで聞いたこともなく、現役の自衛官時代には旧式の装備品が未だに現役で使われていたり、ボロボロの施設や装備が多くても状況が変わらないのを見てきたので、今後も予算は増えることはないだろうと個人的には思っていました。

ここ最近の日本では、裏金問題や防衛増税、控除額の引き上げなど、お金にまつわる政治的トピックが話題となっています。また物価の上昇によって生活が厳しくなっていると自分自身も感じます。

予算の一部が自衛官の待遇改善に使用されるとの情報もあり、
元自衛官として興味があったので日本の防衛予算について調べてみました。

日本の国を守る方針

2022年12月、岸田文雄政権は日本の安全保障政策となる「国家防衛戦略」を閣議決定しました。
日本では概ね10年間の中長期的な安全保障政策や防衛力のあり方を定める「防衛計画の大綱」をこれまでまとめてきました。

それを置き換えるこの政策では、2023年度から5年間で防衛費を現行の1.6倍となる43兆円に拡大することを決定しました。

背景としては厳しい国際情勢に対応するため。
特に中国や北朝鮮、ロシアといった周辺国の軍事力強化や、
ウクライナ侵略などを背景に、領土・領海・領土を守る抑止力の強化が求められています。

具体的にはスタンドオフ防衛能力、ミサイル防衛、無人アセット、衛星コンステレーションなど新たな戦力を整備していく予定です。また、日米同盟を基軸に、同盟国との連携を深化させる方針です。

この「国家防衛戦略」と同時に閣議決定されたのが「防衛力整備計画」です。これまでの「中期防衛力整備計画(中期防)」と呼ばれる計画を置き換えるもので、この文書では今後5年間で日本の防衛力を整備するための具体的な計画が示されています。例えば人材の活用方法や、今後配備する戦闘機の数(装備品)や編成する部隊(編成)などが記載されています。

また国家安全保障戦略という日本の安全保障に関する最上位の政策があります。

国家安全保障戦略は、日本の国益を守るために、外交力・防衛力・経済力・技術力・情報力を含む
総合的な国力を最大限に活用し、国家の対応を高いレベルで統合させる戦略です。

2013年、第2次安倍内閣の時に初めて策定された政策で、これまでは1957年に決定した
「国防の基本方針」がありましたが、国家安全保障戦略が決定されるまでの56年間、
一度も見直されることがありませんでした。

現在の国家安全保障戦略は2022年12月岸田政権時に見直されたものになります。
これらの政策に興味のある方は防衛省から公表されている文書を見てみてください。

国防の基本方針(1957)」

国家安全保障戦略(2013/12)」

「国家安全保障戦略(2022/12)」今ここ

防衛計画の大綱(2018/12)」

「国家防衛戦略(2022/12)」今ここ

中期防衛力整備計画[中期防](2018/12)」

「防衛力整備計画(2022/12)」今ここ


↓最新の日本の防衛政策の文書はこちらから見れます。(防衛省HP)

国家安全保障戦略

国家防衛戦略

防衛力整備計画

これらはニュースなどでは防衛三文書とも言われています。

2025年(令和7年)防衛予算の概要

さて2025年度、令和7年度の防衛予算について解説していきます。令和7年度、防衛予算は2024年12月27日に閣議決定されました。防衛省から公表されている予算案の概要によると、総額8兆7,005億円を計上しています。

ここで、過去の日本防衛予算と比べてみましょう。

3年前の2022年度、令和4年度の防衛予算は5兆4,005億円となっています。この年の防衛予算は前年の2021度から3,071億円(+11.8%)増額となっています。

この年に防衛予算が今後5年間で大幅に増額される事が決定しました。

その1年目である2023年令和5年度の防衛予算は6兆7,880億円となり前年度比26%(約1兆4192億円)増額され国内総生産(GDP)比で1%を超えました。

防衛予算が増額された2年目である2024年、令和6年度は7兆7249億円でした。

過去3年分と比較すると22年、令和4年度を境に、大幅に増額されている事が分かります。

ここ最近の日本の防衛予算についての増額の推移がおわかりいただけたかと思います。2025年予算の細部内容についてはこのあと解説していきたいと思います。

国家予算のうち他の予算と防衛費を比べてみると

防衛予算は日本の予算のうちどれぐらいを占めるのか、全体の金額規模を把握するのも重要だと思います。

ニュースなどでは防衛予算は過去最高の〇〇兆円!のような金額を誇張する報道が多く、
(税金がこんなにも一般市民の生活に関係ない軍事費に使われている!といったニュアンスに聞こえるのは気のせい?)
どのような用途に使用されるかなどはあまり報道されていない気がしますがどう思いますか?

そんな金額だけが注目されがちな防衛予算ですが、日本全体の予算と比べると防衛費はどの程度の割合を占めているのでしょうか。

財務省の資料によると2025年度の日本全体の予算は115兆5,415億円で過去最大規模となりました。

主な内容は社会保障関係費約38兆2778億円
高齢化に伴い年金、医療、介護費用増加が要因となっており予算全体の33.1%を占めており、過去最大の金額となっています。

防衛費は先程説明したとおり8兆6691億円で全体の7.5%
(各省庁の予算の計算方法などで多少金額の誤差があります。)

公共事業費6兆858億円で全体の5.3%
私たちの生活を支える重要なインフラに投じられる予算であり、道路・鉄道・港湾・防災・公共施設など多岐にわたる分野で活用されています。

文教及び科学振興費5兆5,496億円で全体の4.8%
小中学校の教育支援、大学の研究開発、奨学金制度、科学技術の振興、文化財保護、スポーツ振興など幅広い分野に投じられています。

防衛費が増額される前の2022年度予算を見ると、公共事業費と文教及び科学振興費よりも防衛費は少ない予算でした。

その他
国債費: 28兆2179億円。国の借金や利息の支払いなどで予算で全体の全体の24.4%となっています。

地方交付税公費金等19兆784億円。国が地方自治体(都道府県・市町村)の財政格差を是正し、地方公共団体が必要な行政サービスを提供できるようにするための補助金で、予算のうち全体の16.5%となっています。

税収見込みは78兆4400億円となっていて、6年連続で過去最高を更新しています。

まとめると日本の予算のうち一般歳出の中で最も予算が使われているのは、年金や介護、医療費を支える「社会保障費」となっていて約3分の1をしめています。

一般歳出の中で次に多く使われているのが「防衛費」となっており、次に「公共事業費」、「文教及び科学振興費」、「その他」と続きます。

このように日本全体の予算を見ると、防衛予算の占める割合は全体の7.5%となっています。

(出典:財務省 令和7年度予算のポイントより)

海外の軍事費と日本の予算を比較してみると

日本の防衛予算を海外と金額面を比較するとどうでしょうか。防衛白書からの資料をもとに、各国の国防費を日本円にしてまとめてみました。

為替レートの変動もあるため、あくまで参考程度に見てください。

アメリカ 約127兆円

アメリカ軍は世界最強の軍事力を持ち、陸・海・空・海兵・宇宙軍の5軍種を展開。最新技術やAI、宇宙戦、サイバー戦を重視し、F-35戦闘機や最新鋭空母、ICBMなどの戦力を強化しています。

NATOやAUKUSなどの同盟を通じ、グローバルな軍事プレゼンスを維持しています。対中国戦略を強化し、インド太平洋地域への展開を加速。高い即応能力と圧倒的な火力で、戦略的抑止力を保持しつつ、各地での軍事作戦を遂行しています。

アメリカの2024年度の国防費は約8860億ドル。
日本円に換算すると約127兆円と過去最大規模となっています。前年度比伸び率は10.8%
日本全体の1年間の予算よりも多い金額が国防費となっています。

中国 約34兆8400億円

中国人民解放軍(PLA)は世界最大の常備兵力を持ち、急速に近代化しています。
空母、ステルス戦闘機、極超音速ミサイルなどを配備し、台湾や南シナ海での軍事圧力を強化中です。

AI・サイバー戦・宇宙戦の分野にも投資し、情報戦の強化を推進しており、
2027年までに「世界一流の軍隊」を目指し、アメリカとの競争を加速している状況です。
ロシアとの軍事協力も深め、東アジアでの影響力拡大を進めています。

中国の2024年の国防費は1兆6,655億元
日本円に換算すると約34兆8400億円です。前年度比伸び率は7.2%

ロシア 約18兆円

ロシア軍は核戦力と長距離ミサイルに強みを持っていますが、ウクライナ侵攻で兵力と装備に大きな損耗を受けています。

兵員不足を補うため動員を強化し、ドローン・ミサイル攻撃を多用しています。電子戦・サイバー戦も積極的に活用し、西側の支援に対抗しています。

ワグネルなどの民間軍事会社を利用した非正規戦を展開しつつ、長期的な軍事力再編を進め、NATOとの対立姿勢を強めています。

2024年ロシアの国防費は10兆7754億ルーブルとなっており、日本円で約18兆円です。前年度比伸び率は68.2%

韓国 約6兆2844億円

韓国軍は、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対抗するため、防衛力を強化しています。最新の防空システム、K2戦車、KF-21国産戦闘機を導入し、自立した防衛力を構築、米韓同盟を基軸としながら、AUKUSやQUADとも連携を強化しています。

宇宙・サイバー戦にも注力し、防衛産業の輸出を推進しており、グローバルな軍事技術市場での影響力も拡大しています。

2024年、韓国の国防費は59兆4344億ウォン。日本円に換算すると約6兆2844億円です。前年度比伸び率は4.2%

ドイツ 約11兆4700億円

ドイツ軍は欧州の防衛力強化のために再軍備を進めています。ロシアのウクライナ侵攻を受け、国防費を大幅に増額し、新型戦闘機や防空システムの導入を推進しています。
レオパルト2戦車を中心とした陸軍戦力を強化し、NATOの即応部隊の中核を担う国となっています。

長らく縮小傾向だった軍事力を再編し、欧州防衛の要としての役割を果たすべく、戦略的な兵力増強を行っています。

2024年ドイツの国防費は717億5200万ユーロ、日本円に換算すると約11兆4700億円です。
前年度比伸び率は22.6%

まとめるとアメリカが桁違いに軍事費に投じていることが分かると思います。
そして中国、ロシアと続いています。

Screenshot

(出典:令和6年度防衛白書より【https://www.mod.go.jp/j/press/wp/wp2024/html/ns009000.html】)

2025年(R7)予算を元陸上自衛官が見て気になったポイント

2025年度の防衛予算とともに公表された資料(予算案の概要)では、トマホークミサイルや無人機、F35B戦闘機の艦上運用、宇宙・サイバーなどの主要な装備計画が記載されています。

しかし元陸上自衛官である私からするとまだあまり詳しくない分野もあり、現状ではまだまだ勉強不足だと思うので、元陸上自衛官として気になったポイントに絞ってピックアップしていきたいと思います。

自衛官の処遇改善

予算案の資料の中で自衛官の処遇改善に関するテーマがあります。手当等の新設、引き上げが実施されるとのことです。内容としては任務の特殊性に関して処遇を改善する施策のようです

(出典:防衛省 令和7年度予算案の概要)

新設される手当など

まず新設される手当などを見ていきましょう。

航空管制官手当(仮称)

航空管制官に支給する手当として、航空管制官手当(仮称)を新設されるようです。一例として航空管制業務を行う隊員の階級が1尉の場合、月額32000円(年額39万円)が支給されるそうです。

航空機整備作業等手当(仮称)

次に対領空侵犯措置に対処する航空機の整備員の手当を新設されます。
航空機整備作業等手当(仮称)として日額1200円とのことです。
航空自衛隊の戦闘機部隊でスクランブル発進に備える隊員方への手当でしょうか。

野外演習手当(仮称)

次に、主要な野外演習等に従事する隊員に支給する手当 等とあります。
この項目では野外演習に従事する隊員の殊遇改善として、
野外演習手当(仮称)を新設し、日額1400円の手当を支給となっています。

個人的には金額と題目である主要なと野外演習と書いてある「主要な」と「等」の部分が気になる部分ではあります。
主要なというと、訓練の規模などによって支給される範囲が変わってきそうな気がしますが、どう思いますか?実戦を想定した、「状況に入る」と支給されるのか、例えば4夜5日以上などの訓練日数で支給されるのか、基準や詳細が気になるところですね。

陸自あるあるだと思ますが演習が多い月や、山にいる期間が長くなってくると、
自分の給料を時給換算したことがある人も多いのではないでしょうか?

営内生活者への給付/指定場所生活調整金(仮称)

自衛隊では即応体制を確保するため、居住場所を指定され、陸自であれば独身の陸士、2曹以下で30歳未満の隊員は駐屯地内で集団生活を送らなければなりません。

私自身自衛官の時はずっと営内者だったので、これは個人的に資料の中で一番気になった部分です。
士の確保等として計上された予算のなかで、不慣れな営舎内生活等に対する給付金とあります。

概要としては不慣れな営舎内生活等の労苦を評価し、指定場所生活調整金(仮称)を新設して最大で120万円(採用日から6年間、1年経過する毎に20万円支給)するそうです。

不慣れなという部分が気になりますが、営内生活の不満への対処法といったところでしょうか。
士の人材確保として計上された予算案ですが、営内生活経験者として、これは残留制度や、古くてボロボロな生活隊舎の設備、人間関係、勤務スケジュールなど営内生活に対して感じる不満などは、さまざまな原因があり、単純な問題ではない気もしています。

他にも効率化や省人化が進まないと、「営内生活大変ですねご苦労様です」と1年に1回20万円のボーナスがもらえるからといって、退職者が減るとは思えないのですがどう思いますか?

最近では民間企業でも賃上げがニュースになっていますが、これらの手当などの恩恵が受けられる世代と、これまでの世代との間で不満やモチベーションの低下などが起きないのか、少し気になっているんですがどうなんでしょうか?

引き上げされる手当など

次に手当てなどの金額が引き上げられる項目を見ていきましょう。

航空手当

航空手当の引き上げがされます。一例では戦闘機パイロットの1尉の場合、
月額約257,000円 から約289,000円の3万2000円増額されます。(年額約39万円増)

他にも金額など詳細は分かりませんが、航空作業手当の引き上げ等とあります。

災害派遣等手当

災害派遣等手当の引き上げもされます。
日額1620円から2160円へ引き上げされます。

自衛官任用一時金

自衛官任用一時金の引き上げ
自衛官任用一時金は、任期制隊員(自衛官候補生)が、自衛官(2士)に任用される際に
支給される一時金で、現行より12万円増の約34万円に引き上げられます。

自分は一般曹候補生で入隊したので全く関係なかったので、この記事について調べるまで
このような一時金があることを知りませんでした。

特殊作戦群の隊員の特殊作戦隊員手当

特殊作戦群の隊員の特殊作戦隊員手当の引き上げがされます。
一例では特戦群1尉の隊員で月額約159000円から約209000円の5万円増額となっています。

サイバー専門部隊等にも特殊作戦隊員手当等を支給するとしています。
名称は特殊作戦手当等ですが、特殊作戦群の手当とは金額に違いがるようですね。
一例では1尉の場合、月額約32000円となっています。

空挺団の落下傘隊員手当

空挺団の落下傘隊員手当の引き上げがされます。
一例では1尉の場合月額約97000円から約106000円の9000円の増額です。

特別警備隊隊員の特別警備隊員手当

特別警備隊隊員の特別警備隊員手当の引き上げもされ、こちらも一例では特戦群の手当と同じく1尉の場合、月額約159000円から約209000円の5万円増額となっています。

予備自衛官関連の処遇改善

予備自衛官等に対しても金銭面での処遇改善が図られています。

まず予備自衛官手当が増額されます。
年額48000円から147600円と99600円増額されます。

また訓練招集手当(予備自衛官)は年5日間招集で年額40,500円 から 55,000円へ
勤続報奨金(即応予備自衛官)は120,000円 から 215,000円(1任期3年)へ増額されます。

他にも予備自衛官を採用している企業への支援の拡充や事業を営む予備自衛官に給付金を支給とあります。

現在即応予備自衛官を採用している企業では、一人あたり月額42500円の給付金の制度がありますが、企業だけでなく予備自衛官が事業主(フリーランスなど)の場合でも給付金が支給されることとなりそうです。こうした施策で予備自衛官制度自体の魅力化や募集人員の増加につながると思います。

他にも予備自衛官の装具や、被服の整備にも3億円の予算があてられるそうです。

実際に予備自衛官の訓練を担当した際に、旧式の66式鉄帽を使っていたり、64式小銃での射撃訓練など、現役の装備品より古いものが使われているのを見て、有事になれば命を守るものなので、予備自衛官と現役の自衛官関係なく、本来なら同様の装備品であるべきだよなと個人的には思っていました。

(出典:福岡地方協力本部X)

生活・勤務環境の改善

自衛官の生活と勤務環境改善への施策も資料では記載されていました。自衛隊ならではの特殊な勤務環境への改善案とのことで、個人的に興味深いと思った部分を取り上げていきます。

まずは既存隊舎居室の個室化(パーテーションによる間仕切り等)整備に14億円計上されています。

私がいた時は隣のベッドとベッドの間にロッカーを置くのも禁止されていましたが、時代は変わりましたね。
これは部隊に所属している人数が少ない部隊だと可能だと思うのですが、私がいた普通科部隊などの人数が多い部隊などでは、個室化できるほどの部屋数や建物自体のキャパシティが厳しいものがあると思ったのですが、どのように変化していくのでしょうか?

個人的に調べたところ、現段階では服務規則まで変更されていないと思うので、営内生活のルールが緩くなるというような意味合いではなさそうです。

営内班長は指導も難しくなるだろうなと感じましたね。

庁舎、隊舎の改修、修繕、備品や日用品等の整備

草刈機整備11億円

予算の概要には隊員の業務負担軽減のための自動草刈機の整備(11億円)等を推進と書いてあります。

自衛隊では駐屯地や演習場の草刈り作業などは業者などに依頼せず、自ら実施しています。
わざわざ草刈り機の整備費用まで記載されているのは自衛隊ならではだという印象がしました。

今はお掃除ロボットのような草刈り機ロボットや、大型のロボット刈り機などもあるので、こうした業務も効率化できるようになるのでしょうか。

エアコン整備に279億円

資料には気になる一文があり、隊舎・庁舎等の整備及び備品や日用品等の整備のうち空調については、隊員の健康に影響を与えるため、優先的に整備(279億円)とあります。

私がいた隊舎は空調自体はあるのですが、古くて利きが悪いうえにに、21時以降になると停止するので、昼間に日光で熱せられた建物自体が熱を持っており、消灯時間でも部屋の温度が30度を超えているのが普通でした。

夏寝るときは半袖、半ズボンになって小型の扇風機を直接体にあてて寝ていました。

訓練や有事の場合、夏にバテないように暑さに慣れる必要はありますが、通常寝る部屋にエアコンがないのは、ただ疲れが取れにくいだけなので当然の改善だと思います。

エアコンがない夏場の教育隊の廊下ってものすごい匂いしますよね…

移動負担軽減

このほか、必要な運搬費(有料道路使用料を含む。)を計上し、隊員の移動に係る負担を軽減し、勤務環境の改善を推進とあります。

意外と思われるかもしれませんが、自衛隊車両は災害派遣時は高速道路は無料で通行できますが、通常の訓練時などはETCカードを使って料金を支払います。

訓練の規模などによって高速道路を使える場合もあれば、そうではなく下道を使って演習場まで移動することもありました。

稀な例かもしれませんが私も実際に、400キロほど遠方の演習場に途中駐屯地で1泊しながら、下道で移動したこともありました。

当然高速道路を使ったほうが訓練時間を確保できたり、訓練後に駐屯地へ帰隊してから、使用した機材などの整備時間にも余裕ができます。

(出典:陸上自衛隊 第1普通科連隊X)

無線LAM環境の拡充(2億円)

駐屯地・基地等の厚生棟及び隊舎の共有区画における無線LAN環境の拡充(2億円)
インターネットを使える環境を整えるということでしょうか。
現在では無制限で使えるプランなどもありますが、私も含めて多くの営内者はスマホ+ポケットwifiを契約していることが多かったと思います。今でこそスマホの回線の4Gや5Gでソフトウェアアプデができるようになりましたが、当時はスマホを維持するにもWifiが必須でした。

駐屯地警備のリモート監視システム(176億円)

(出典:防衛省 令和7年度予算案の概要)

陸自は駐屯地の部隊が持ち回りで24時間交代制で警衛勤務という駐屯地の警備を行っています。
資料ではこの警備システムはこの警衛勤務に関係するものだと思うのですが、民生の警備システムを使った省人化を目指すと書かれています。

持ち回りの勤務ですが毎日行われているのですぐ回ってくる勤務ですし、他の訓練などと重なっていると訓練時間や勤務の調整も難しくなってきます。省人化は現場の隊員にとって大きなメリットがあり、良い施策だと思います。

私も民間で働くようになってからいろんな企業へ訪問することがありますが、受付業務はペーパーレスでタッチパネルで行ったり、車両ナンバーを読み取り、事前に登録していればゲートが開いたりする設備があったりします。

今後は身分証がIDカード化されたりしてゲート通行式になったりするのでしょうか?

こんな設備があればなと警衛勤務中に妄想した事がある陸自経験者はきっと自分だけじゃないはず。

装備品関連

ここで装備品関連の気になったポイントを見ていきましょう。陸自装備品ばかりですみません。

装輪車関連で共通戦術装輪車という名称の車両の取得とありました。初めて見ましたが、ベース車体を元に各種任務に応じた装備バリエーションがある装甲車のようです。
24式装輪戦闘車、24式機動120mm迫撃砲、共通戦術装輪車(偵察戦闘型)が採用されるようです。その他96式装輪装甲車WAPCの後継としてAMV28両が記載されています。

個人的には迫撃砲搭載型が非常に気になります。

(出典:令和7年度予算案の概要)

20式小銃(54億円)
20式5.56mm小銃の取得に54億円計上されています。
その内訳として、89式小銃、64式小銃の後継として、陸上自衛隊(10,000丁)だけでなく海上自衛隊(205丁)、航空自衛隊(2702丁)にも配備されると記載があります。
陸自だけでなく、海自、空自にも20式が採用されるんですね。
航空自衛隊にとっては64式小銃以来の新小銃になるのではないでしょうか。
60年前の装備品なのでそろそろ限界が近いでしょう。

まとめ

今回は、2025年度(令和7年度)の防衛予算について、元陸上自衛官の視点から気になったポイントに絞って解説しました。

個人的な感想としては、数年前までの予算案では、戦闘機や艦船、戦車の取得や水陸機動団の新編といった装備品や組織改編が注目されることが多かった印象です。

今回の予算では人材確保に向けた待遇改善や通常勤務の効率化にも重点が置かれており、
現場の隊員が働きやすい環境を整備するという方向性が強く打ち出されているのが印象的でした。

2025年度予算から本格的に調べ始めたのですが、新防衛三文書が作成されてから、自衛隊に関わる予算の使われ方が大きく変更されているのだと、改めて感じました。
現場レベルで実感するほどの変化が起きているのかは分かりませんが、元自衛官としても良い方向へ変わることを願っています。

今回取り上げなかった、装備や組織改編、研究開発への投資など、他にも興味深い施策が盛り込まれていますが、長くなりすぎるので、詳細が気になる方は、防衛省の公式サイトで公開されている資料もチェックしてみてください。

防衛力抜本的強化の進捗と予算 令和7年度予算案の概要


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