高市早苗首相が進める防衛力と経済力の強化で日本の防衛・自衛隊はどう変化する?

アメリカ

日本初の女性総理として高市早苗氏が第104代総理大臣に任命されました。

積極財政による高市総理の経済対策に注目が集まるなか、このブログでは主に国防や自衛隊などについて、どのような政策を実施し、変化していくのかに注目してみたいと思います。

自民党総裁選時、高市早苗氏の所見に注目

まず自由民主党総裁選時の公表されている高市氏の所見について注目してみたいと思います。

出典:自由民主党



「危機管理投資」「成長投資」「暮らしの安全・安心」「強い経済」といったキーワードを用いて、責任ある積極財政を打ち出しています。

戦略的に財政出動し、ガソリン税や軽油引取税の暫定税率の廃止や年収の壁引き上げなど、物価高への対応や、将来に向けた成長産業・技術開発への投資を拡大するなど、政策の内容は多岐に及びます。

この中で高市氏が防衛関連の内容で言及している点は、「防衛力」と「外交力」の強化です。

防衛力では、新しい戦い方宇宙、サイバー、電磁波、無人機、極超音速兵器などに対応できる防衛力を構築すること。
また自衛隊員の処遇改善を掲げています。

現在制定されている、戦略三文書の見直しに着手する。ともあります。

この三文書とは、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の3つの文書のことを指します。


1つ目の国家安全保障戦略は、軍事・外交面だけでなく、経済安全保障や技術、情報などを含む幅広い分野で、国の安全保障に関して対応するべき内容を記載した文書です。

2つ目の国家防衛戦略は、1つ目の文書をもとに、どのような防衛力を整備していくべきか、内容をまとめたもので、この文書は10年ほど先の、将来を見据えた戦略や防衛力の目標を示したものです。

3つ目の防衛力整備計画とは、先程の2つの文書から見据えた、今後5年間で整備するべき予算や調達する装備品などについてまとめたものになります。

現在の三文書は2022年12月に制定されており、約5年で43兆円規模の防衛予算を確保する内容というのはニュースなどでよく報じられている内容です。

所見での政策について戻ります。

目新しい内容として衛星と海底ケーブルの防御について強化すると記載があります。



外交面では日米安保の強化、日米韓、日米比の防衛協力、防衛装備品の調達、共同開発を通じてイギリス、イタリア、オーストラリアと関係を強化すると書かれています。

この内容は次期主力戦闘機の共同開発や、日本のもがみ型護衛艦の導入を決めたオーストラリアについて言及しているものだと思います。

また主要駅や大規模建築物の建設時には地下シェルターの設置を義務付ける「地下シェルター設置法」の制定、

デュアルユースと呼ばれる軍事、民間の両方の分野で利用できる技術による防衛関連産業の育成、民生分野でのスピンアウトを促進します。

外交面では他にも「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」での連携強化、「CPTTP(環太平洋パートナーシップ)」の加盟国拡大、日EU経済連携協定など海外との経済活性化を促進しつつ、ODA(政府開発援助)・OSA(政府安全保障能力強化支援)、防衛装備移転の戦略的活用によって、特にASEANとの連携強化するとのことです。

ODAについては、人道支援やインフラ整備といった内容の支援事業で学校で習った人も多いかと思います。

ODAに対してOSAとは2023年に始まった、開発途上国の軍などに対して、無償で装備品やインフラの提供をして、日本と相手国相互に安全保障環境にプラスになり、国際的にも平和と安全に寄与できる国に支援する事業です。

出典:外務省

例えばフィリピン海軍への沿岸監視レーダーの供与や、マレーシア国軍への警戒監視機材の供与などの実績があります。

また所見の最後には国としてのインテリジェンス関係省庁の司令塔として「国家情報局」の設置、「スパイ防止法」の制定に着手すると記載されています。

アメリカのCIA、イギリスのMI6、イスラエルのモサドなどの海外の情報局が有名ですが、日本の情報機関は内閣情報調査室、防衛省情報本部、警察庁警備局、公安調査庁、外務省国際情報統括官組織などが存在しています。

これらの各省庁に分散している情報機関のないようを集約、分析する機能を強化する目的があります。

公明党の連立離脱と日本維新の会との連立合意

高市氏はこの後、自民党総裁選挙で勝利し、自民党総裁となりました。

その後、自民党と長きに渡って連立政党であった公明党が連立を離脱し、
新しく日本維新の会と、連立政権の合意を得ることになりました。

@jimin_koho

その自民党と日本維新の会の、連立政権合意書のなかでも、自衛隊や防衛関連に関する内容が記載されているので注目してみたいと思います。

連立合意書の4番、外交安全保障に注目してみたいと思います。

まず、高市氏の総裁選時でも表明していた、戦略三文書の前倒しでの改定を掲げています。

また国際社会における平和を構築する新たな外交手段を涵養する観点から、外務省に和平調停に関わる部署の創設とあります。

防衛力に関しては、スタンドオフミサイル整備の加速、並びに長射程ミサイルとVLS(垂直発射システム)を搭載した、長時間、長距離活動可能な次世代動力の潜水艦の保有に係る政策を推進とあります。

自衛隊の運用の効率化、指揮統制の強化のため、自衛隊の区域統合、及び中間結節点の簡素化等を着実に実施するとあります。

区域統合については統合作戦司令部ができたことによるもので、陸海空自衛隊それぞれににある区域についてなのか、3自衛隊含めての区域統合なのかわかりませんが、今後編成なども変わっていくかもしれません。

また中間結節点とは何の事を具体的に指すのかは分かりませんが、駐屯地や基地などの事をさすのでしょうか?
いずれにせよ自衛隊の効率化や指揮機能の強化を図る方針だと思います。

また防衛生産技術の強化に向けて、防衛装備移転三原則の運用指針」の五類型を撤廃し、防衛産業に係る国営工廠及び国有施設民間操業(GOCO govoment owned, contractor operated)に関する施策を推進する。とあります。

これまで自衛隊向けの装備品など生産してきた企業では、海外大手防衛企業と比較すると輸出することもできず、自衛隊だけに納入するだけで需要も低く、生産コストの高い防衛装備品の生産から撤退してしまった企業も存在します。

結果的には価格の高い海外製装備品に頼ることになることや、防衛費のうち装備品の購入予算がそのまま海外に流れてしまう可能性もあるので、こういった国営工廠などは、国内の防衛力の維持や、経済対策としても両立する形での施策となりそうです。

合意書の最後では自衛官の処遇改善を含む、人的基盤の抜本的な改革をめざして、自衛官の恩給制度の創設を検討とあります。

また現在の自衛隊の「階級」「服制」及び「職種」等の国際標準化を令和8年度中に実施するとあります。

まず恩給制度については、現在の日本ではあまり馴染みがない制度だと思います。

明治時代から戦後にかけて、旧日本軍の軍人や官吏など、国に仕えた人に対し、退職後の生活を支えるために支給された制度です。

現在の年金に似ていますが、社会保障というより「国に尽くした功績への報い」という性格が強い点が特徴です。

戦争で負傷した軍人への傷病恩給や、戦死者の遺族へ遺族恩給もあり、戦後の生活支援として重要な役割を果たしました。

現在も制度自体は残っていますが、新たな対象者はおらず、受給者は高齢化しており、制度は自然に終わりを迎えつつあります。

総務省

このような恩給制度は、自衛官として実際に防衛出動などによって、負傷、戦死した場合を想定したものなのか、それとも海外での軍隊の事例のように、退役軍人年金といったものを想定しているのか分かりませんが、恩給という言葉からも、なにかしら自衛官になることが、メリットになるような改革を目指していると思います。

階級、服制、職種といった国際標準化についてですが、自衛隊の階級については日本独自の呼び方になっており、まず大きく分けて士・曹・幹部というクラスに別れます。

士は海外の軍では兵卒、曹は下士官、幹部は士官という階級クラスになります。
陸自では陸士、陸曹といったりもします。

例えば二等兵であれば2士、陸自では2等陸士、空自は2等空士、海自は2等海士といった正式名称になります。

この階級制度は、国や軍の編成によって仕組みや呼称は様々です。

国際標準というと自衛隊でも共同訓練や英語教育では、privateやsergeantといった呼び方を使用しているとは思うので、そもそも日本語の呼び方を変えるのか、階級制度そのものを変えるのか、どちらなのかよく分かりませんが、具体的にはどのような内容になるのでしょうか?

もしくはNATOや米軍で使用されている階級コードと、紐づけするような形で標準化するといった内容でしょうか?

US DOW

個人的には国際標準というより、家族や親戚、友達との会話のなかで、「階級が士長に昇任した」と話せば、自衛隊の階級に詳しくない場合がほとんどなので「市長」??どういう事?となり、「一等兵から上等兵になったような感じ。」といった具合に説明した方が早かったりしたことがあります。

また民間での就活の際にも、「3曹って階級のことなの?」と質問されたりして、「下士官クラスでだいたい軍曹あたりの階級になります。」と説明したこともあります。

いまではゲームや映画、アニメでも、軍曹や少尉、少佐といった旧軍時代の階級の呼び方がたくさん出てくるので、日本国民にとっても、軍曹や、少佐といった表現のほうが、だいたいコレぐらいの階級なんだなと、分かりやすいのかもしれません。

また「服制」について、個人的に思い当たる点はなく、具体的にどのような点なのか分かりません。

個人的には陸士長時代、桜花章とも呼ばれる、陸曹候補者き章という、金色の桜の形をした徽章を、戦闘服の襟につけていたのですが、共同訓練で米軍の若い兵士に「なんだ金色の目立つそれ?ジェネラル(将軍)か?ハハハ」と小バカにされた記憶があるので、外国人からみると、勘違いされたりする事などもあるのかもしれません。

職種についても階級と同様、日本独特の呼び方であり、海外では兵科とも呼ばれます。

確かに陸自の普通科などは、「歩兵科」としたほうが分かりやすい気もします。

ただし英語表記ではInfantryを使用しているので伝わらない事はありません。

海自、空自などについては、あまり詳しくはありませんが、同様の事例などはあるのでしょうか?

職種の標準化についてもあまりピンと来ませんでしたが、どのような改革になるのでしょうか。

紹介した内容は高市氏の総裁選で表明された内容と、ほぼ一致している印象でしたが、特に自衛隊の恩給制度の検討や、階級、服制、職種といった国際標準化、防衛産業の国営工廠についての記載などは、興味深い点だと思いました。

高市内閣誕生、各大臣への指示書の内容とは?

高市政権での閣僚人事が発表された後、日本経済新聞より、各閣僚への指示書というものが公表されました。

次は、この高市総理から各閣僚に指示した内容について、注目してみたいと思います。

まず全閣僚へは、「成長戦略と積極財政で経済と暮らしを支えつつ、地方活性化や災害対応を進め、日米同盟を軸に外交・防衛力を強化する。」といった内容の共通指示があった上で、各大臣への指示が出されています。

まず全体を通して読んで、気付いた点は、

「我が国の領土・領海・領空の警戒監視について、関係大臣と緊密に連携し、緊張感を持って、情報収集を行うとともに、事態に応じて我が国の法令に基づき適切に対処する。」

といった共通の指示が複数の大臣に指示されています。

平口法務大臣、金子国土交通大臣、小泉防衛大臣、あかま国家公安委員長に対して指示されており、金子国交相にはこの一文のあとに

「海上保安庁の体制強化、自衛隊との連携強化を図る。」

とも付け加えられています。

個人的にこのような内容は、防衛大臣のみに出されているものだと思いましたが、複数の大臣にも指示が出されており、防衛省だけでなく国全体として対処する意気込みのようなものを感じました。

赤沢経済産業大臣への指示の中では、関係大臣と協力して、デュアルユース(軍民両用)技術の育成、防衛産業の強化を進める。とあります。

高市総理の総裁選時の出馬表明会見ではF-2戦闘機、開発時に生まれた高速道路のETC、車載型衝突防止装置、チタンボルト、物流タグなどに言及されていました。

防衛省

最後に小泉防衛大臣への指示を見てみましょう。

1国家安全保障と防衛力強化

日本国及び日本国民の安全と繁栄を確保するため、国家安全保障会議の下、関係大臣と協力して、国家安全保障政策を一層戦略的かつ体系的なものとして実施する。国民の命や暮らしを断固として守り抜くため、国家安全保障戦略等に基づき、防衛力の抜本的強化に取り組む。また、関係大臣と協力して、民生技術の積極的な防衛目的での活用、防衛技術の社会への還元も視野に、防衛生産・技術基盤を強化する。あわせて、関係大臣と協力して、自衛官の処遇や勤務環境の改善、新たな生涯設計の確立に取り組むとともに、将来の戦い方を見据え、自衛隊の人的基盤の強化に取り組む。

2日米抑止力・対処力強化

日米共同の抑止力・対処力を一層強化する。その際、我が国の反撃能力をより効果的に発揮するための日米の協力態勢を構築するとともに、それぞれの指揮・統制の枠組みの向上と連携の強化に取り組む。

3多国間防衛協力の推進

日米同盟を基軸としつつ、共同訓練、装備・技術協力を含め、日米韓、日米比、日米豪、日米豪印等の二国間・多国間の防衛協力・交流を推進するとともに、関係大臣と協力して、自由で開かれたインド太平洋を進化させ、地域の安全と安定を一層確保するための取組を主導する。

4在日米軍再編と地元負担軽減

沖縄基地負担軽減担当大臣と協力して、普天間基地移設を含む在日米軍再編を進める中で、抑止力の維持を図るとともに、沖縄をはじめとする地元の負担軽減を実現する。
減を図る。

5領域警戒と法令に基づく対処

我が国の領土・領海・領空の警戒監視について、関係大臣と緊密に連携し、緊張感を持って、情報収集を行うとともに、事態に応じて我が国の法令に基づき適切に対処する。

6 自衛隊の信頼確保と任務遂行

防衛省・自衛隊の信頼確保に全力を挙げるとともに、平和安全法制に基づくものを含め、自衛隊の任務の着実な遂行に万全を期す。相次ぐ自然災害に対応し、人命救助や被災者支援に取り組む。

◯ 平和安全法制に関する事務を担当させる。

まとめ

ここまで高市早苗総理が就任された、前後の資料や、発表された内容、自民党と日本維新の会との連立政権合意書など、さまざまな資料をもとに、自衛隊や日本の防衛において、今後どのような変化や展望があるのかに注目してみました。

世間一般のニュースなどでは、高市政権の経済対策について注目が集まっており、個人的にも期待したい部分でもあります。

防衛力の強化に関しては、どうしても一般的な報道では、防衛費の金額ばかりに注目されているので、今後もそれ以外の細かい部分にも引き続き、注目してみたいなと思います。

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