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戦闘機パイロットはもういらない? アメリカ軍の無人戦闘機開発「YFQ-42A」「YFQ-44A」

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戦闘機パイロットは必要なくなるのか?
映画トップガンマーヴェリックでは、「これからの時代、無人化が進み戦闘機パイロットは必要なくなる」と語られるシーンがありました。

現実世界のアメリカでは実際に無人戦闘機開発を着実に進めています。

現在の最新鋭戦闘機である、F-35やF-22戦闘機は、第5世代戦闘機と呼ばれており、ステルス性やレーダー、センサー、データリンクなど戦闘機自体の高い飛行性能に加えて、ソフトウェアとしての戦闘能力の非常に高いものとなっています。

現在開発中の第6世代戦闘機では、人が操縦する戦闘機と、無人の戦闘機を組み合わせて運用することが計画されており、アメリカは2030年代の運用を目指しています。

オーストラリアでもMQ-28の開発が進められており、アメリカよりも一歩先に無人戦闘機の導入国になるかもしれません。


無人化することで、有人戦闘機よりもはるかに低いコストで機体を手に入れることができ、より多くの航空戦力を揃えることができます。

またこれまでの戦闘機運用にはパイロットの育成や練度維持に必要な訓練、燃料、交換部品、機関砲やミサイルなどの弾薬、など戦闘機本体の他にも莫大なコストがかかり、この部分も無人機運用によってコスト削減が見込まれています。

実戦においては無人機にセンサーやミサイルなどを装備させ、人が操縦する戦闘機よりも前方の危険な空域に先行させることで、人的損耗リスクを回避することが期待されています。

アメリカの無人機開発はCCA(Collaborative Combat Aircraft)プログラムと呼ばれ 、現在2種類のテスト機が製造され飛行試験を実施している段階です。

CCAプログラム

アメリカには「NGAD」 ネクスト・ジェネレーション・エア・ドミナンスという計画が存在します。

これはF-22の後継機を中心とする、航空優勢を確保する能力を構築する計画で、人が操縦する第六世代戦闘機と無人の戦闘機を組み合わせ、より強力な航空優勢を築くことを目指した構想です。

第6世代戦闘機ではF-22よりもステルス性が高く、高い巡航性能を保ちつつ、大型化された機体による長距離行動、大型ウエポンベイの装備が特徴と言われています。

2025年には、この第6世代戦闘機開発にボーイング社が正式にサプライヤーとして決定し、その機体にはF-47の名称が与えられました。

F-47戦闘機の「47」という数字の意味には第二次世界大戦時の戦闘機、P-47サンダーボルトへの敬意や、アメリカ軍創設の1947年、F-47命名時の大統領が第47代トランプ大統領だったからなど、3つの意味がこめられているとされています。

今回注目するのが、そのF-47戦闘機とともに運用される予定の無人戦闘機の開発です。
無人機開発のCCAプロジェクトでは現在、2機種の開発が進められています。

それがジェネラルアトミクス社が開発するYFQ-42Aと、アンデュリル社が開発するYFQ-44Aです。

「YFQ-42A」 ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ(GA-ASI)

USAF

YFQ-42Aを開発するジェネラルアトミクス社は長年、無人航空機を開発してきた老舗で、日本でも海上保安庁が採用しているMQ-9Bシーガーディアンなど有名で、シーガーディアンは今後、海上自衛隊での採用も決定しています。

YFQ-42Aは空軍研究所 AFRL向けに開発した実験機XQ-67をベースに設計されています。

公開されている情報を見ると、YFQ-42Aは驚異的なスピードで開発と試験が進められています。

・25年3月、空軍はジェネラルアトミクス社の開発機体にYFQ-42Aと正式に命名。
・25年5月、本格的な地上試験を開始。
・25年8月27日、初飛行に成功、その後半年の間に複数の機体が製造・飛行テストを実施

「YFQ-44A」アンデュリル・インダストリーズ

対してYFQ-44Aを開発するアンデュリル社は2017年創業の新興防衛テック企業です。
バーチャルリアリティーのVR、オキュラスVRを設立した起業家パーマー・ラッキー氏などが設立した企業で、AIや自律システムを得意とする防衛企業であり、
特徴的なのは、国の予算成立を待たず、自社資金で先行開発を進めるビジネススタイルです。

Anduril

2025年12月アンデュリル社は日本法人を設立し、日本の防衛力近代化のニーズに合わせ、日本の高度な製造技術・エンジニア能力とアンデュリル社のソフトウェア開発・迅速な生産能力を組み合わせることで、強力なパートナー関係を築くことを発表しました。

今後は自衛隊におけるAIや無人機運用(MUM-T)に関する開発や、AI人材の育成など日本においても影響力を持つのではないかと思います。

そんなアンデュリル社が開発するYFQ-44Aは、もともとブルーフォーステクノロジー社が開発していた無人機Furyをベースにした機体です。

ブルーフォーステクノロジー社はのちにアンデュリル社に買収されることになりました。

Furyの機体サイズはF-16戦闘機の半分ほどで、炭素繊維複合材を活用したステルス形状を意識した外見となっています。

ウィリアムインターナショナル製FJ44Mターボファンエンジン1基を搭載しており、高度5万フィート、最高速度マッハ0.95まで到達可能で、
機体内部には最大400ポンドの兵装を格納可能、レーダー、赤外線追尾システム、電子戦装置を追加できるオープンアーキテクチャを使用しています。

YFQ-44Aの開発スピードも非常に速い進捗です。
・23年にアンデュリル社がブルーフォーステクノロジー社を買収、Furyプログラムを引き継ぎ。
・25年3月 米空軍がアンデュリル社のプロトタイプにYFQ-44Aと正式名称を命名
・25年5月 本格的な地上試験を開始。
・25年10月 初飛行に成功。

ジェネラルアトミクス社のYFQ-42A、アンデュリル社のYFQ-44A両者とも、ベースとなる機体を活用しつつ、驚異的なスピードで開発を進めています。

これまでにない航空機開発の特徴

この無人戦闘機開発プログラムにはこれまでの戦闘機開発とは異なった、特徴的な点があります。

CCAプログラムでは、従来の戦闘機開発のように「機体(ハードウェア)」と「システム(ソフトウェア)」を一体化して調達するのではなく、

これらを完全に分離した調達方式、いわゆるマルチベンダー方式を採用している点です。


これをスマートフォンでたとえると分かりやすいです。
本体そのものはiPhoneやXperiaのように複数のメーカー・機種から選べます。

一方で、その中で動くOSはiOSやAndroidのように別のレイヤーとして存在しています。


外側と中身を別々に開発し、ユーザーが求めるものを組み合わせる。CCAプログラムをスマホに例えると、このように考えることが言えます。

CCAプログラムでは現在2機種の開発が進められていますが、共通する土台となる規格、アーキテクチャに沿うように開発が進められています。

内部システム(ソフトウェア)の土台となるアーキテクチャ規格は、A-GRA(Autonomy Government Reference Architecture)

日本語では『自律性政府参照アーキテクチャ』といった意味で、アメリカ政府(空軍)が所有・管理するオープンアーキテクチャの規格です。

この規格は機体の制御、通信、他の装備品との相互運用性を定義する土台のような役割を担っています。

このアプローチとA-GRAの採用には、重要なメリットと目的があります。
これまでの軍事開発では、特定の企業にシステム全体を依存してしまう「ベンダーロックイン」が課題となってきており、この依存による課題を防ぐように設計されています。

機体のハードウェアとミッションソフトウェアを切り離すことで、技術統合の障壁を取り払っています。

実際にYFQ-42Aでは、RTX傘下のコリンズ・エアロスペースが開発するミッション自律ソフトウェア「Sidekick」を搭載した飛行試験が行われ、地上のオペレーターからの指示による半自律型の行動を取れることが確認されています。

アンデュリルのYFQ-44AにはShield AI社が開発したミッション自律ソフトウェア「Hivemind」が統合され飛行試験が実施されています。

従来のオートパイロットとは異なり、飛行禁止空域の迂回、障害物の回避や交戦、予期せぬ状況への対応などを人間の介入なしに自律的に判断・実行できるとされています。

またアンデュリル社自身もミッション自律ソフトウェア「Lattice」を開発しており、YFQ-44Aでの搭載や他のアンデュリル社製ドローンにも応用可能だとしています。

ハードウェアとソフトウェアの調達を分けることで、『機体は優れているが中身のソフトが弱い』、あるいはその逆といった妥協を避け、それぞれの分野で優れた企業の技術を独立して選び、組み合わせることができます。

従来の航空機ではソフトウェアを更新するたびに時間と労力のかかる飛行認証におけるテストフライトをやり直す必要があり、これが技術革新の足枷になっていました。

A-GRAアーキテクチャはモジュール式を採用しており、飛行に関係する変更不可能なプログラムと、新しい機能のためのプログラムを分けることでリスクを軽減しながら開発を加速させることができます。

またA-GRAアーキテクチャ自体が、ある特定の企業による独占的な規格になって硬直化するのを防ぐために、30社以上の企業からなる産業共同体を組織して、幅広い企業の能力や視点が規格に反映されるようになっています。

AI兵器は間違えないのか

ここまでアメリカの2種類の無人戦闘機の開発状況について見てきました。

現代の戦い方では、無人化に焦点が当てられることが増えてきました。実際、ドローンを活用した戦術は大きく進化したと言われています。
今後はAIによる自律化、自動化も焦点になりつつあります。

将来ターミネーターのような兵器が存在するようになるのではないか?
と思われる方がいるかもしれませんが、その点においてもアメリカ国防省では兵器システムにおける、自律性に関するポリシーを定めています。

そのポリシー規定DoDD3000.09では、簡単に説明すると、軍がAIや自律型兵器を開発・運用する際に、人間がどのように関わり、安全と倫理をどう守るべきかを定めた根本的なルールです。

この規定では人の判断を必ず介入させ、誤作動や通信の遮断において、意図しない攻撃を避けるためのハード・ソフトウェアの開発・検証ガイドラインがあり、この無人戦闘機開発CCAプログラムにおいても適用されています。

まとめ

ここまで見てきたように、アメリカはCCAという枠組みで、有人の第6世代戦闘機を司令塔にして、無人機を前に出すという戦い方を本気で進めています。

YFQ-42AとYFQ-44Aは、既存のベース機を活用しながら驚くほどのスピードで開発が進み、

さらに特徴的なのが、機体とソフトウェアを分けて調達する。いわば戦闘機のスマホ化です。

中身を入れ替えて進化させ、ベンダーロックインを避けて、ソフトウェアやアップデートにより性能を高めていく。

結論として、戦闘機パイロットが不要になるというより、これからはパイロットの役割そのものが変わっていくのだと思います。

操縦する人から、無人機を指揮する人へ。そんな時代に向かっているのかもしれません。

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